通信講座で気功を学ぼう 
   

通信教育講座のねらいとコンセプト

 武術や医療を含む体育系のイシューの伝授は、マンツーマン、それも手取り足取りが基本であります。通信講座という相手が見えない映像による指導でどれだけのものが正確に伝わるか、あまり期待しすぎないように、というのが、この企画当初からの最大公約数的意見でした。また長年の研鑽によってようやく得られた技法や知識が盗まれて法外な値段で転売されるおそれなしと言えぬと心配されもしました。

 しかしそれでもなお、人が自分の心身技術を公開しようとするのは、情熱によるのであります。そしてそれが気功であれ、武術であれ、医術であれ、何であれ、知的財産が全き私的所有物ではありえない以上は、無条件にそのもっともすぐれた形でプロデュースされることこそが自然でありましょう。
 よいもの、すぐれたものを、惜しみなく提供する。よいものやすぐれたものは、できるかぎり共有されるべきである。そのためにこのコンセプトは、廉価であるという条件とセットになっております。
     
 私たちは、気功はよいものであるという以上に、気功をすると身体がよろこんでいると感じます。気功をする理由を尋ねられたら、まずは「気功をすると身体がよろこぶんですよ」と答えたいと思います。
 身体のよろこびには、
     1 .発見のよろこび
     2 .自由のよろこび
     3 .よろこびを共有するよろこび
があると思います。

 私たちは自分の身体といえども、実は知らないことが少なくないのであります。身体が頭の道具になっているために、頭が要求することを実現するために身体は使われている面が大きいのです。そこに身体のよろこびはありません。なぜなら、頭が身体に要求することはたいてい限定的で現実的なことです。

 一方身体には、進化の過程で獲得した無限の才能が隠されております。身体を再開発していくと、思いがけず、今まで知らなかった自分の能力に目覚めることがありますが、その発見のよろこびは、まさに自分のものだということができます。
 身体能力について考えてみますと、人にはできるのに、自分にはできないことが多くあります。でも、できる人ははじめからできたのでしょうか。いや、だれもができるようになったのであります。できるようになったときの得意なあの気分は、たとえ小さなことでもそれは自由のよろこびであります。また年をとったり、病気になったりして衰えたために、以前はできたのにできなくなってしまうことがあります。そんなときには、工夫と努力によって能力がもどれば、自由を回復したよろこびが味わえます。身体に関する秩序だった智慧の技術は、このよろこびに寄与します。
 発見のよろこびも自由のよろこびも、自分のものですが、外に広がる勢いを持っております。友達やこどもが、こんなことが分かった、できるようになったと、よろこぶのをみるだけで、人は嬉しくなるものです。
 だからもし、私たちが二十年間にわたって研鑽してきたことが、この通信教育の開始を機会に縁が結ばれ、知識と技術が受け入れられて、役立つなら、それは私たちにとってもよろこびなのです。


三つの講座について 

1 ヘルスカスタム講座
 気功の会の教室では気功だけをやっているのではありません。また、気功は気功だけを突然行なうことも、気功をしてきて突然やめることもできません。
 気功をするためには心身の準備と心身に関する知識が必要です。
 それらの多くは、他の心身技法に通じる物や、医療に役立つ物で、健康法のコンテンツとして有益なことが実証されています。
 この度これらを気功の身体観、視点からまとめて「ヘルササイズ」と名付け、講座のタイトルを「ヘルスカスタム」と名付けました。これは、難しいところはひとつもなく、気功そのものを知らなくてもできるし、効果を受け取ることができますから、すぐに役立ち、健康法として常用すれば、健康に自信が持てるようになるでしょう。
 もし、このアイテムに習熟すれば、それだけでたとえば高齢者対象の健康指導者として十分活躍できると思います。さまざまな教育現場でも実用的です。それを見越して、講座に習熟と実践のためのスクーリング指導会を組み込みました。

2 気功入門講座
 気功にはその背後に深遠な人間理解の海が広がっています。人間は部品の寄せ集めではありませんから、不具合があったり故障しても取り替えることができません。不具合や故障は一時的部分的な現象にすぎませんから、症状を抑えても治りません。心身の全体を調えてやらなければ、治らないのです。そういう観点から、全身調律と自然治癒力を高める独得のエクササイズの体系として再構築したのが、この気功入門講座です。
 従来の気功入門は、現代中国気功紹介にすぎませんでした。現代中国気功は、現代中国人のための気功です。現代日本人には向かないものを理由をはっきりさせて削除し、本質的なところを救い出してシェイプアップすることにより、見事に生まれ変わりました。
 全身調律して自然治癒力を高めるということは総合的な「自分力」「自活力」を高めるということです。⑴全身調律の内容は、左右・本末・表裏の筋平衡を調整することで、そのために「気の身体」の技法が用いられます。
⑵自然治癒力を高めるためには錐体外路系神経を訓練しなければなりませんが、これは意識と呼吸を媒介にしたリラックスと集注による一種の感覚訓練です。
 この講座では5つの功法に習熟することによって、上の2つの目標をはっきりさせることが課題となります。

3 練功講座
 かつて中国では、気功は医療保険制度のない老人のための予防医学でした。日本では日常の過酷なストレスを忘れるための避難スポットでした。
 医療と健康法のすきまに、ヒーリングがあります。医療の医師と患者の関係がヒーラーと被術者の関係に置き換えられ、治療が癒しに置き換えられているのですが、そこが気功の外気治療やマッサージ治療にとって格好の活躍の場となりました。つまり気功は欠陥社会のセーフティネットの役割を果たしていたのです。
 そういうものも確かに気功ですが、それらと私たちの気功を区別したいと考えました。
 気功の真価は、今この社会に生きる自分がより自分らしく生きていく力の源泉になるというところにあると考えたからです。そうなれるように、編集したのが、2つの気功講座です。
 練功講座は、すぐれた功法との出会いがテーマです。すぐれた功法は、気功としてはすぐれているのですが、共通した欠点があります。それは、長すぎるのです。原典に忠実にやると、1時間以上かかってしまうのです。分刻みの生活に馴らされている現代人には異常な長さです。
 そこで、練功講座ではセレクトバージョンを紹介することにしました。いわばショートプログラムなのですが、ここに原典のエキスを詰め込み10~20分のルーティーンにまとめました。この長さは、日常生活の中に組み込め、たいていの日本人なら集中を持続できる時間です。これに習熟すれば、きっと原典のフルバージョンをものにしたいと思えるように、設計しました。
 これらをマスターしたら、その先は一人一人の問題というべきです。あるいは、通信教育では責任のある指導が不可能な領域です。

 さまざまなきっかけで気功に親しんでいる方々に、この講座を通じて気功の神髄と呼ぶべき功法と練功の姿に触れてもらい、これまでに培ってこられた功夫をいっそう高めるきっかけにしていただきたいと思います。

 
 
 
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